リーゲルテレスコープ義歯
テレスコープシステムのなかで、コーヌステレスコープ(コーヌスクローネ)と並んで有名な治療法がリーゲルテレスコープです。リーゲルとはドイツ語で閂(かんぬき)を意味します。つまり、「鍵が付いている入れ歯」とお考えください。いったん入れ歯に鍵をかけると、外れない仕組みになっています。鍵の名前はリーゲルレバーといいます。指先で引っ掛けて鍵を解除する仕組みになっています。
ヒトの歯は、親知らず(智歯)を含めて32本あります。上下顎に分けると16本ずつになります。歯はお互い隣り合いながらそれぞれの位置を保っており、毎日の食事で1日合計1800~2000回ぐらい咬むといわれています。特に奥歯の咬む力(咬合力)は約60kgといわれています。つまり、自分の体重ぐらいの力が奥歯にかかっている状態です。その強い咬合力を個々の歯に分散することでお互い助け合っています。
しかし、歯を失うことによって、個々の歯にかかる力の負担も大きくなります。隣の歯を失うと、お互いの位置を保つことが困難になり、歯を支える骨も弱くなりグラグラしてきます。虫歯はなくても歯周病に罹患し、歯を失うことになります。
リーゲルテレスコープ義歯のメリット
- 入れ歯にリーゲルレバー(旋回リーゲル)が付いているので、レバーを閉めると外れない。食事や会話の途中で外れることはない。
- コーヌスクローネの内冠や外冠が重なる時のくさび力はないので、レバーを開けば簡単に外せる。
- 口の中に残っている歯を内冠でつなげてしまうので、 個々の歯にかかる力の負担が軽減される。
- 神経を取った歯、中等度の歯周病に罹患している歯でも保存できることが多い。
- 内冠と外冠の二重構造になっているので、歯にかける金属のバネ(クラスプ)はなく、見た目が良い。
- 入れ歯が壊れても修理が可能。
リーゲルテレスコープ義歯のデメリット
- 入れ歯装着後にリーゲルレバーの開閉に慣れが必要。
- 残っている歯を内冠で連結するため、歯と歯の間のこまめなお手入れが必要。
- 内外冠の二重構造なので、入れ歯の歯が少しだけ大きくなる。
- 入れ歯を安定させるために、できる限り多くの歯を使う。内冠装着のために歯を削る。
- 指先が不自由な方は、レバーの開閉が難しい。
どのような方にリーゲルテレスコープ義歯が適応するか?
- 所々の歯が残っている。
- 前歯が残っていて、奥歯がない。
- 神経を取った歯が多い。
- お口の中のお手入れが良い。
- インプラント治療が難しい。
さらに詳しく知りたい方は、当院の入れ歯無料相談にお越しください。
リーゲルテレスコープ
入れ歯の内側にリーゲルレバーという開閉装置が組み込まれています。
このレバーを開くと入れ歯を簡単に外すことができ、閉めると入れ歯は固定され動かなくなります。
レバーはほとんどの場合内側にあるので、外から見えることはありません。
また、レバーは舌が傷つかないように角を丸めてあります。精密な製作行程を必要とするため、特別な訓練を受けた歯科技工士が担当いたします。
発音と味覚重視の部分入れ歯「トーションバー」
トーションバーを使った症例(上顎)
歯の本数や欠損の場所によっては、トーションバーという特殊な連結装置を使うことで、味覚や発音に重要な口蓋部を金属床で大きく覆わずに済む設計です。
奥歯の部分入れ歯「リンガルバー」
奥歯の部分入れ歯
奥歯のみを治療し前歯をそのまま残す場合は、写真のように違和感の少ない場所を選んでリンガルバーで連結します。前歯を削る必要はありません。
リンガルバーを使わない症例(下アゴ)
もしくは、前歯を入れ歯の中に含めれば、リンガルバーを外すことができます。